ストロボ各種修理

ストロボ各種修理

2021年6月4日
写真処理ユーティリティ

使わない、壊れてるということで某写真館から頂いたストロボ機材を修理してみた。
いずれも購入するとお高いので直せればありがたい。

(a)コメット:彗星III(製造年月日不明)
症状:電源が入らない

原因:過放電で使用不可の鉛蓄電池(12V、2.3A/h)

対応:LONG社の5A/hに交換(Amazon経由で約2700円)。モーターバイク用か。筐体にちょうど収まる。横置きだがシールドタイプなので問題はない。現在スタジオで稼働している別の彗星IIIには外付け電池ボックスで電源を供給するように改造していたが、このLONG 5A製品を発見したので、稼働彗星IIIも内蔵に改造し直す予定。

なお、充電端子からの充電は未テストだが鉛蓄電なので無問題だと思われる。写真1参照
補足:ストロボアーム固定金具のビス折れ、ビス穴不調となっていたので、タップを切り直し。

写真1:筐体にちょうど収まるサイズ

(b)コメット:ADM300RC(製造年月日不明だが、内蔵基板には2012年の作成日時プリントがある)。2台

症状:いずれもモデリングランプが光らない

原因:LED(コメットカタログでは10W)が壊れている。原因はLED自体というよりは、放熱対策不足(ひいては回路設計自体が変)だと判断する。あるいは、後に書くようにフリッカーの出過ぎが悪さしている可能性もある。

LEDが壊れてー>修理費支払いのループに入る製品。なお、1台は明らかに、もとよりも放熱が少なくなるだろう放熱板を付けて修理とした形跡があった(原型らしい別の一台の放熱板に比較すると、面積がほぼ同一なのに二分の一程度の厚さの放熱板を加工装着している:10WスペックのLEDで放熱不足が懸念されるわけなのに、なぜ原型以下のスペックの板をはるのだろう。困ったもんだ)。

一応の対応:同型のLEDが秋月電子にあったので(一個1050円)とりよせて装着。形状が完全に一致しているので後継デバイスだと思われる。装着されていたものは4個のLEDを合体させたものだが秋月現行品?はLEDを6つ使っている。
当面の放熱対策として、従来のものよりは大きいアルミ放熱器を加工装着した。
この程度の大きさでもLEDコネクタが邪魔なので取っ払い、直接給電コードを接続。
いずれにせよ筐体スペースがほとんどないので放熱はあまり期待できないが、気休め程度にはなる。写真2、3参照

写真2:左が以前修理したらしいときの放熱板。今回は右を加工して使う
写真3:加工装着後

 

調光方法について:PWM制御で、無負荷の場合、9V近傍=弱と11V近傍=強の電圧が出ているが、LED接続後の電圧は未測定。強のときのフリッカーがすごいので、そもそも公称10Wの能力を果たされていないだろう。フリッカーが多すぎるというのも劣化に影響を与えているかもしれない。
いずれにせよ定常光的な使い方をするとLEDが破壊されるということは、写真館が多忙なときは、モデリングランプをつけっぱなしにするだろうよ!的な使用方法を、想定していないように思われる。これではユーザはたまったものじゃない。

もっと改善するには:(1)消費電力を少なめのもの(たとえば5W)に変更する、(2)最大出力を抑えるように、(PWM関連の)回路定数を変更する(プログラムはブラックボックスなので変更できないから)、(3)ストロボ筐体の横に穴をあけ通風放熱を考える、などがある。

上の3つを併用するのが望ましいが、分解して基板を取り出すのも面倒なので、(4)「モデリングランプはこまめに切ろう!本当に使いたい時以外はモデリングランプは使わないでおこうぜ!」というでっかい張り紙を店内に貼っておくのが、最適解である(冗談ではなく本気で)。

壊れたものを交換するのは簡単だし部品代は高いものではないので壊れたら壊れたときに修理する、という作戦でいいと思う。とりあえず現状で使っての発熱ー>LED破損やボヤ騒ぎだけは気をつけよう。ただし、繁忙期までにはモデリングランプをリモート(赤外線制御)でON/OFFできる付加回路だけは製作予定である(いちいちストロボまで行ってオンオフしなければならないとすれば、張り紙効果はあまり期待できないから)。